herz-sprich-lauter-心情吐露

強いられた 沈黙から
解放された今
僕は誰とでも 喋りまくりたい 

渡辺順三


Von erzwungenem Schweigen
Heute befreit
Möcht` ich mit allen und jedem reden und reden

Watanabe Junzó

今年は日本でも「エミールと探偵たち」などの
児童文学で有名なエーリッヒ・ケストナーの生
誕125周年です。彼と同時代の詩人リンゲルナ
ッツや、並行した時代に日本の詩人が書いた戦
中、戦後の作品に照準をあてて、古嵜 靖子とシ
ビッレ・ドゥーㇺ・アルナウドフが製作した環コ
ンパッション・アーツのプログラムです。歌とピア
ノ、語り、舞台、映像による総合劇場作品をお
楽しみお下さい。

家庭にある「救急箱」には、胃薬や絆創膏が入
っています。でも、心の痛みには何を使えばい
いのでしょう?エーリッヒ・ケストナーの「人生
処方詩集」は、そんな心の症状を和らげるため
に書かれました。この詩集にはユーモア、皮肉、
憤怒が詰まっており、心のデトックスに最適で
す。

ナチスに抗いながらも自国を離れなかったケス
トナーの詩を通して、彼の強さ、批判精神を感
じてください。戦後、世の中が少しも良くならな
かった際の失望は、彼だけでなく多くの人が共
有しました。やっと自由にものが言えるようにな
った時に生まれた詩の数々には力がこもってい
ます。

公演では、リンゲルナッツの、普通とは少々違う
「赤ずきんちゃん」が語られたり、落語のような
「オオカミの大しくじり」(猪本隆作曲)などを通
して、笑いのパワー全開です。

ピカソの反戦壁画「ゲルニカ」を見て一気に書
かれたピアノ曲(デッサウ作曲)、ナジム・ヒクメ
ットの詩「死んだ少女」は広島の原爆投下10年
後に発表され、ドイツと日本の曲で紹介されま
すのでその違いを鑑賞してください。

また、今から80年も前にケストナーが書いた「
合成人間」では、彼が現代のAIを早くも先見し
ていたことに驚かされます。

ドイツ語の歌には日本語字幕が用意され、日本
語の歌はドイツ語訳をマールテン・ギュッペル
ツが語ります。歌は古嵜 靖子、ピアノはコルネリ
ス・ヴィットへフト、舞台・ヴィデオはシビッレ・
ドゥーム・アルナウドフの制作で行います。
戦争が身近に起こっている今だからこそ、ケス
トナーや同時代の人々の言葉が私たちの心に
響くことを願っています。ぜひご参加ください!

チケットの事前販売はこちらから。